2024.05.03
代表の鈴木です。
今日は昨今知名度高まる「床下エアコン」について、その効果や目的を解説していきたいと思います。
なぜ、これから夏に向かう時期に「床下エアコン」の解説をするのかといえば、今から注文住宅を建てると、おおよそ完成時期が冬になるからです。
今しっかりと「床下エアコン」について理解を深めることで、採用の可否を考える良い時期なのではと思った次第です。
床下エアコンについての解説
まず「床下エアコンって何!?」から説明したいと思います。
おもに床下エアコンが活躍するのは冬の暖房期です。
意外と暖房期は長く、関東平野部でも1年のうち5〜6ヶ月はエアコンの暖房を稼働させていると思います。
実はその暖房期を1台の普通の壁掛けエアコンでまかなってしまおうという何とも都合がよい話なんです。
まず床下とは1Fの床下のことで、一般的に1Fの床と床下面にはおよそ50㎝弱の空間があります。
その空間に向けて、通常部屋の上部の壁に設置する壁掛けエアコンを設置する方法を床下エアコンと呼んでいます。
次に「そんなところにエアコンつけて何がいいの?」について解説していきます。
床下エアコンに期待する効果について
まず、床下にエアコンの温風を直接吹き込み、床下の空気の温度を上げます。
「人のいない床下を温める!?」 きっとそう思うでしょう!
その先の説明に移ります。
よくご存知かと思いますが、暖められた空気は軽くて上昇する性質があります。
床下全体の空気の温度を上げ、暖められた空気の上昇気流を利用し、1F全体の室内空間、そして吹抜けなどが計画されていればさらに2Fの室内空間まで温める効果を期待することがこの「床下エアコン」の真髄です。
1Fの床が暖かい空気に直接触れるので、床が冷たくなりません。
よく床暖房との違いを聞かれますが、床暖房は局所的ですよね。
床暖房パネルを施工した部分だけ暖かく、それ以外は非常に冷たいです。(温度差でそう感じます)
また床暖房の熱源はガスです。(最近はほとんど使いませんが電気式もあります)ランニングコストは明らかにガスの方が高いですよね。
さらに設置コストも床暖房は高価です。壁掛けエアコンの方がはるかに安いです。
床下エアコンの利点
・床下エアコン1台で1F全体が暖かくなる → 経済的!!
・エアコンの風が直接体に当たらず不快感を感じない → 快適!!
・居室以外の廊下や洗面脱衣室やトイレも温度差がない快適な空間が得られる → 健康的!!
・床の仕上げ材に制限がなくなる ( 床暖房と比べた場合)→ 無垢のフローリングが使える!!
以上が代表的な利点です。
さて「理屈はわかったけど、そんなにうまくいくのか?」という疑問について、床下エアコンを上手く機能させる条件について解説したいと思います。
床下エアコンを効かせるための最低必須条件とは
1・基礎断熱工法にする
通常日本の住宅建築において、床下空間は外部と通気をさせて換気する考え方が主流ですが、床下エアコンを計画する際は、常に外気が入り込む床下空間に頑張って温風を送っても全く意味がありませんので、床下空間を外気とは遮断する方法が必要で、図に示すように「基礎断熱工法」が必須となります。
2・建物の断熱・気密を強化する
たった1台のエアコンの少ない暖房エネルギーで室内空間全体を暖めるためには、高レベルの断熱・気密性能が必要です。
具体的な性能値としては、東京、埼玉の温暖地(断熱区分Ⅵエリア)で下記の性能が最低必要です。
・断熱性能としてUa値で0.46以下(HEAT20のG2グレード以上)
・気密性能としてC値0.5前後
3・パッシブ設計を心がける
パッシブ設計とは、太陽に素直な設計と比喩されるなど、最大限太陽からの熱量(日射)を室内に取り込む設計のことで、床下エアコンを経済的に稼働させるには、太陽の力を最大限に生かす設計手法が必要です。
太陽の熱エネルギーは永年無料で得られる暖房エネルギーともいえます。
床下エアコンは太陽エネルギーを上手く活用することで、稼働調整が可能となり、ランニングコスト(電気代)を抑えることが可能となります。
以上の3つの条件が整って初めて床下エアコンを計画するに値する建物だと言えますので3つの条件は超重要です。
床下エアコンを計画する際にさらに気をつけること
・平面的に見たときに、床下エアコンをどこに計画するのか?
・意匠的にはどのように床下エアコンの存在を処理するのか?
・エアコンの容量や機種はどのように決めるのか?
・床スリットを計画する位置や数や大きさは?
・万一効きが悪かった場合の対策が考えられているか?
このように、床下エアコンの効果を享受するためには、計算・経験・ノウハウが必要となります。
床下エアコンもメリットばかりではありません。
床下エアコンを計画した場合の懸案事項
・床下エアコンは暖房には向いていますが冷房には向きません。冷気は重いので床下に冷気が溜まったままになりますし、太陽光で温められた1Fの床裏と冷気が接することで結露リスクが高まります。
・床下エアコンとは関係ありませんが、床下空間の空気が室内の空気と共になるため、結露やカビのリスク対策が必要となります。
・エアコンの設置基準がメーカーの推奨基準と異なるため、故障の内容によってはメーカー保障が受けられない場合があります。
まとめ
床下エアコンはメリットやデメリットをよく理解して計画することが必要で、きちんと床下エアコンの効果が出るように、設計や施工計画・精度も重要です。
ただうまく計画できると経済的でこの上ない快適性が手に入るのも事実です。
そして床下エアコンをうまく使いこなしている工務店さんは、建物の断熱・気密性に自信と実績がある工務店と判断することができます。
それではまた。
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