代表の鈴木です。
高気密・高断熱について、目指すところの性能レベルはどこなのか⁉︎
今日はこの話題について私なりの考えを話していきたいと思います。
注文住宅の目指すべき高気密・高断熱性能について
ところで、今一番売れているハウスメーカーはどこかご存知ですか!?
「家は、性能。」というキャッチフレーズで有名な一条工務店です。
年間10.000棟規模の受注は、戸建てに限っては他を圧倒し、ぶっちぎりの1位です。
売れてる理由は、非常に高い高気密・高断熱性能と、その割には高すぎない価格のバランスが他のハウスメーカーが追随できないレベルにあるからだと言われています。
他社が、なかなか追随できない高気密・高断熱の性能レベルとはどんなレベルなのでしょうか⁉︎
まず、国が推奨している断熱基準、ZEH基準、HEAT20の基準を見てみましょう。
日本地図を1地域から8地域までの8つのエリアに分けて、その地域ごとに【UA値】の基準値が示されています。
【UA値】とは「外皮平均熱貫流率」と言われる値(あたい)で、簡単に言うと、建物内部から外部へ逃げる熱量をそれぞれの部位(屋根、外壁、窓、床)ごとに計算し、その熱損失の合計を外皮面積(建物が外部に接する部分の面積)で割った値で、数値が小さいほど熱が逃げにくく省エネ性の高い建物であると示す値です。
よく【Q値】とごっちゃになる方がおりますが、Q値は熱損失量を床面積で割った値です。
今は【UA値】が主流になりましたのでこちらの数値で比較してみます。
上の表でも分かる通り断熱性能の優劣は、
国の推奨基準(長期優良住宅など)< ZEH基準 < HEAT20基準
となっています。
一条工務店の断熱・気密性能
一条工務店さんのHPで拾える情報をまとめてみます。
Q値 0.51 UA値 0.25 断熱材 :高性能ウレタンフォーム (一条工務店オリジナル) 壁の熱貫流率 0.2 C値 0.59
UA値の0.25は、1地域(北海道)のHEAT20 G2グレードよりも上回る驚異的な性能値です。
これを全国的に標準仕様としているところがすごいです!(商品グレードにもよりますが・・・)
数字だけ見てみてもどれだけ凄いかは伝わりにくいかもしれないので、少し解説を加えます。
一条工務店さんの断熱材
最初に、一条工務店さんが採用している断熱材の素材と厚みについて調べてみました。
一条工務店さんは「ダブル断熱仕様」の商品と、通常の「内断熱仕様」の商品2つのパターンがあるようです。
カタログやHPでは、当然「ダブル断熱仕様」の商品の性能値で自社の優位性を語っています。
HPでは断熱材の種類は、【高性能ウレタンフォーム】であると表記されています。
この高性能ウレタンフォームの熱伝導率の表記はありませんが、ダブル断熱の合計厚み190mm(140+50)と、熱貫流率の値0.2の情報から、
一条工務店さんの断熱材【高性能ウレタンフォーム】の熱伝導率は「0.038」であることがわかります。(単位は省略)
実はこの熱伝導率の値はたいして高性能とはいえず、世の中に普及している断熱材の多くはこの値か、もっといい値の断熱材が出回ってます。
しかしながら、断熱性能は断熱材の厚みに比例してきますので、壁厚140mmある2×6工法の特徴を活かし、壁内いっぱいに140mm充填し、さらに構造体の外側に50mm貼り付けた付加断熱仕様で断熱材の厚みを190mmとすれば、圧倒的な断熱構造となります。
そしてこの断熱材を屋根面は235mm、1Fの床下面には140mm充填されます。
断熱材の厚みで言えば、屋根面は他社の 1.5倍程度、床下面は2倍程度の厚みがあります。
一条工務店さんの断熱性能は、断熱材の性能ではなく厚みで確保された性能であることがわかります。
またもう一つの特徴として、この高性能ウレタンフォームは一条工務店のグループ会社が生産しているオリジナル品で、あらかじめパネル化された構造躯体に工場で組み込むことで、高い施工精度を可能としています。
これだけの内容であれば、業界トップクラスの断熱性能であることは納得です。
一条工務店さんのサッシ(窓)
さらに、家の断熱性能を確保するためには、サッシ(窓)の性能が非常に重要ですが、窓についても一条工務店さんは、高い性能値の窓をオリジナルで開発し標準仕様として展開しています。
それは、防犯合わせガラスを組み込んだトリプルガラスの樹脂サッシで、ガラスとガラスの間にはクリプトンガスが注入され、樹脂スペーサーも使った超ハイスペックな内容です。
一条工務店さんの換気システム
断熱、窓(サッシ)、そして最後は換気です。
高気密、高断熱仕様の建物において、換気計画も非常に大事な要素となりますが、こちらも一条工務店さんは、ダクト式の第1種換気システムにて空気の管理も制御する…というコストをかけた換気システムです。
まさに鬼に金棒の断熱性能ですね!
「断熱材の厚み、オリジナルのトリプルガラス樹脂サッシ、第1種換気システム」が、先に挙げた一条工務店さんの性能値を実現させています。
「家は、性能」に偽りなしって感じですね。
これで、割安感のある価格設定であれば売れない理由はありません。
他のハウスメーカーや、工務店では同じ仕様で同じ価格帯では提供できない内容だと思います。もちろん弊社でも無理です。
高性能な住宅を割安に提供できる理由とは
それでは、なぜこんなに高性能な住宅を一条工務店さんは提供できるのでしょうか⁉︎
ローコストや超効率的な家づくりは本来ハウスメーカーが得意としているところですが、一条工務店さんも例に漏れずです。
特に一条工務店さんは、家の部材の多くを海外(フィリピン)で大量に生産しています。
また本来国内の他メーカーから仕入れるとどうしても高くなる超高性能部材をオリジナル品として開発し、グループ会社で生産・供給することで、圧倒的なコストダウンを実現しています。
家づくりの多くの部分を賃金の安い海外の工場で徹底的に工業化するところがローコストのポイントだと思います。
一条工務店さんの断熱・気密性能を中心に解説してきましたが、そのほか耐震性能も耐震等級3を標準としていますし、仕様設備もミドルグレードが標準となってますので、一条工務店で家を建てれば間違いないと言えそうですよね。
しかしながら、弊社も他のハウスメーカーや、他の工務店も一条工務店さんと同じ土俵で勝負しなければなりません。
一条工務店さんに勝てるのか!?
一条工務店さんに勝てる要素はあるのでしょうか?
さてここから反撃です!笑
一条工務店さんと比べた弊社の優位を解説したいと思います。
設計対応力とデザイン力
一番の優位性は設計対応力とデザイン力です。
実は家の性能値は、間取りや建物の形状で大きく左右されます。
実際に一条工務店さんのような超高性能を担保するためには、かなり間取りやデザインに制約を設けざるを得ません。
事実、一条工務店さんの家は真四角の総2階建ての家か、せいぜいL型の総2階建て家がほとんどのようです。
それなりの土地の大きさがあり、土地の形が綺麗な整形地で、法規制のゆるい郊外の土地であれば、プランニングの上で問題ないと思いますが、都内の厳しい法規制の中での狭小地や変形地ではなかなか間取りの対応が難しいのが現実だと思います。
私供の商圏は、そのような環境がとても多いので、設計力とデザイン力か鍛えられています。
SE構法の優位性
一条工務店さんの構造は2 X 6工法なので厚い壁厚(140mm)を活かした断熱性能の向上と耐震性向上には効果的な工法ですが、工法の特性上、開放的な間取りや、将来の大掛かりな増改築やリフォームは苦手な構造となっています。
この件については、2 X 4工法や2 X 6工法の一番ネガティブな部分です。
弊社が推奨している在来工法である「SE構法」は開放的な間取りが得意で、将来の大掛かりな増改築やリフォームがとてもしやすい構造となっています。
このSE構法は、自由設計が売りの注文住宅と大変相性が良く、重量鉄骨やRC造と同等の構造計算(許容応力度計算)を行い耐震等級3を確保した上で、2X4工法や2X6工法では到底不可能な、ドラスティックな空間デザインが可能です。
アーキ・モーダの断熱・気密性能
設計対応力やデザイン力と、圧倒的な断熱性能との比較のような話になりがちですが、弊社の断熱性能は、施工エリアである断熱地域区分の「5地域」「6地域」では、平均でHEAT20のG1~G2レベルの間で計画できていますので、決して悪い数値ではありません。
一条工務店さんは、北海道エリア「1地域」のHEAT20のG2レベルに匹敵する性能値なので数値比較では完敗ですが、逆に一条工務店さんの性能値は「5地域」「6地域」ではオーバースペックとも言えると思います。
断熱性能を担保するために必要な気密性能に関しては、弊社は実測値で平均C値は0.3~0.6ですが、一条工務店さんの平均C値は0.59(カタログ値)なので、気密性能に関しては、逆に弊社のほうが一条工務店さんよりも同等以上の性能値です。
またサッシについてですが、首都圏エリアや大都市圏に多い準防火地域や防火地域では、計画するサッシは防火認定が必要で、おそらく一条工務店さんのオリジナルであるトリプルガラスの樹脂サッシは防火エリアには対応されていないかと思いますので、このエリアで家を建てると、一条工務店さんのサッシについての優位性は消えます。
このように、弊社の商圏である都心部エリアや準防火地域のエリアでは、間取りの自由度が高く、このエリアにおいては高い性能値と評価できる弊社が提供する建物は、一条工務店さんに対しても十分競争力があると思います。
まとめ
今回は住宅性能のついて解説いたしました。
断熱・気密性能をどこまで求めるかについてですが、まず地域によって変わります。
関東南部の断熱地域区分の「5地域」や「6地域」であれば、まずHEAT20のG 1レベル以上をクリアーしていれば十分かと思います。
そしてC値は必ず実測して、1.0以下をキープすること。
それ以上の数値を求めると、間取りや家の形の制約がかなりかかってきますので、注文住宅の醍醐味が薄れてきます。
それこそ、規格住宅レベルで家づくりを進めるか、よっぽど費用をかけていくかの選択になってしまいます。
やはりせっかくの注文住宅ですから、間取りやデザインにもこだわり、費用対効果と価格のバランス取りながら、建物の性能値のラインを決めていくことが、正しい選択かと思いますがいかがでしょうか⁉︎
オススメの断熱・気密性の性能値(単位は省略)
- UA値:断熱性の基準 0.48(5地域) 0.56(6地域)
- C値 :気密性の基準 1.0以下(実測で確認)
最低限、この2つの性能値を意識すれば大丈夫です!
たったこれだけ!?と思うかもしれませんが、特に建物ごとにC値を実測している会社は今現在ほとんどありません。
ぜひ、ご検討されているハウスメーカーさんや工務店さんに聞いてみて下さいね!
それではまた。
2019.10.08
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