代表の鈴木です。
今や家を建てる一般のお施主様にもほとんど知られている「基礎補強」ですが、多くの方が間違った認識をしているように思います。
地盤補強という言い方もありますが、同じ意味で使われていますので、ここでは基礎補強という呼称で統一してお話します。
最初に簡単に基礎補強について説明させていただきます。
基礎補強のホントの目的とは
基礎補強とは
まず基礎補強工事は木造住宅を建てる場合、地耐力が30kn未満であれば必要となります。
3階建てであれば20kn未満で必要となります。
地耐力とは、地盤の強さのことを言いますが、地盤調査を行うことでその強さを図ることができます。
調査方法は、住宅建築であれば「スウェーデン式サウンディング試験」が主流で、配置される建物の4隅と中央部の合計5ヶ所のポイントを測定し、各ポイントの数値を観察して数値(強度)のバラツキを確認します。
各ポイントの数値にバラツキがなく、平均的に30kn(3階建ては20kn)以上あれば基礎補強は不要という考察になります。
地盤のことなので地域や地形によって様々ですが、私共の商圏エリア(東京、埼玉)では、5割以上の確率で基礎補強が必要という考察が出ています。
基礎補強の種類
基礎補強の種類は様々ありますが、土地の表層から強い地盤(支持層)までの深さによってある程度種類が決まります。
比較的浅い部分に強い地盤(支持層)があるならば、【表層改良】や【鋼管杭】が採用されますし、強い地盤が深い場合は【柱状改良】が選択されるケースが多いです。
費用感で言うと東京、埼玉で平均的な大きさである延床面積で30~40坪くらいの建物で施工費は50万から100万程度です。
道路と土地の高低差がある場合は、施工条件にもよりますが200万を超えるケースもあります。
ざっと基礎補強についての表面的な解説をしてきましたが、ここからが本題です。
基礎補強は地震対策ではありません!
基礎補強と聞いて、どのようなイメージを持たれるでしょうか?
多くの方は、「地震に強くなる!」と解釈しています。
確かに軟弱地盤に建つ建物は地震時に揺れが大きくなり、建物が倒壊しやすいとよく聞きますよね!
だからしっかり基礎補強をして大きな地震に備えたいという発想になるわけです。
しかし、基礎補強の本当の目的は「不同沈下」を防ぐことであって、地震に強くするためではないことを理解している人はほとんどいません。
不同沈下は建物の傾きを誘発する現象です。それも地震による傾きではなく平常時に自然に傾いていくことを言います。
【基礎補強はこの平常時に自然に傾くことを防ぐことを目的とした工事】なのです。
「自然に傾くものなのか!?」
と思うかもしれませんが、限られた敷地内の土地でも場所によって地盤の強さが異なることはよくあることで、あるポイントで建物の自重に耐えられないと、そちらが沈み込み傾いていくのです。
繰り返しますが、基礎補強の目的は建物を長期にわたって安定的に水平に保つことを目的としていますので、決して地震対策の工事ではありません。
ここが誤解されているところで、お客様のみならずハウスメーカーの営業マンも「地震がきても基礎補強していれば安心ですよ!」なんて説明をしてしまいます。
ハウスメーカーの営業マンは住宅のプロではないので仕方ないですが…
「免責事項」を見ればわかる基礎補強工事の本当の意味
基礎補強工事の施工に対する保証書なんて、建物のお引渡しを受ける前に目にすることはないと思いますので、先に何が書いてあるのかお伝えします。
特に「免責事項」を確認すると、基礎補強の本当の意味がよくわかります。
いくつかあるのですが、抜粋して記します。
- 近隣の土木・建築工事、道路工事、重量車両の通行による振動などの影響に起因する場合。
- 地震、噴火、洪水、津波、台風、落雷、竜巻、水害等の天災に起因する場合
- 地割れ、地滑り、陥没、崖崩れ等、地形及び地盤の変動に起因する場合
- 植物の根等の成長に起因する場合
- 火災、爆発、暴動等に起因する場合
- 防空壕跡等、隠れたる瑕疵に起因する場合
(以上、一般社団法人ハウスワランティの地盤保証書より抜粋)
いかがでしょうか?
考えられる天災や不可抗力的な要因は全て【免責事項】となっています。
ここまで読んでいただいた方、「なんか基礎補強なんて意味なくね!?」と感じた方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
大きな地震で宅地が部分的に沈み込んだとしても、基礎補強工事のおかげで建物が宙に浮いた状態でも水平に保たれているケースもありますし、そもそも日常平常時に建物が傾き出したら大変ですよね!
まとめ
どんなにしっかりと綿密に工事をしても、地震や水害などの天災による建物の損傷は、住宅会社にとっては免責事項になります。
だからこそあらゆる想定内、想定外の自然災害に対して、「ここまでやってダメなら仕方ない!」というレベルで提案したいのです。
弊社が、地盤調査に基づいた基礎補強工事を行うのはもちろんのこと、全棟構造計算「許容応力度計算」を実施して【耐震等級3】を取得するのもそのためです。
【木造の構造計算って!?日本一わかりやすい木造の構造計算の解説】
より安全で安心な住まいを計画するためには、設計と施工が同じベクトルで建物を設計し施工する必要があります。
私共がアーキテクトビルダー(設計+工務店)を強く推奨する理由はそこにあるのです。
それではまた。
2020.02.06
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