注文住宅のサッシ(窓)について、今何を選ぶべきかを解説。

2024.05.16
代表の鈴木です。

高気密・高断熱住宅への関心の高まりから、近年サッシ(窓)に対する注目度が高まってきています。
アルミサッシから、アルミ樹脂複合サッシへ、そして樹脂サッシ木製サッシなどバリエーションが増えてきており、住宅会社がどのサッシを選択、推奨しているのかで高気密・高断熱住宅への取り組む姿勢が評価される時代でもあります。
サッシは大まかに「枠(障子)」と「ガラス」で構成されておりますが、アルミや樹脂、木製などは枠の素材のことを指しております。
そこで本日はあらためて注文住宅のサッシ(窓)について、特に性能に焦点を当てて解説していきたいと思います。

注文住宅のサッシ(窓)について解説ブログの画像

注文住宅で採用されるサッシ(窓)の種類について

【アルミサッシ】

アルミサッシは枠がアルミでできており、20〜30年前までは日本の住宅では主流の存在でした。その頃はガラスももちろん単板(シングル)ガラスで昔からある一般的なガラスですが、さすがに今新築の住宅で単板(シングル)ガラスのアルミサッシを見かけることはなくなりました。

【アルミ樹脂複合サッシ】

アルミサッシの次に出てきたのはアルミ樹脂複合サッシで、現在最も流通しているサッシ(窓)です。
外部に面する枠の部分がアルミで、室内に面する枠が樹脂でできていることから、アルミ樹脂複合と表現されています。
メーカーによっては「ハイブリッド構造」といういかにも日本人が好みそうな名称を付けていたりします。
なぜこのようなサッシが登場したかといえば、主に「サッシ(窓)の結露対策」のためです。
外部に面する枠は、耐久性を考慮して素材はアルミとし、室内側は熱伝導率が低く加工が容易な樹脂を組み合わせることで、枠の部分の結露を大幅に緩和することができました。
同時にガラスもペアガラス(複層)となり、ガラスとガラスの間に乾燥空気を挟むことで熱伝導率を抑えガラス面の結露も抑制されました。
その後建物の高断熱化に伴い、サッシ(窓)もさらなる進化を遂げます。

【樹脂サッシ】

近年急速にその存在感を増しているのが樹脂サッシです。
樹脂サッシは枠の外側も内側も全て耐候性に優れた樹脂製で作られたサッシ(窓)のことで、アルミ樹脂の枠と比べ大幅に熱伝導率が抑えられ、結露対策はもちろんのこと建物の高断熱化にも非常に相性が良いサッシ(窓)といえます。
樹脂サッシが出始めた頃は、価格が高く採用にあたり大きな障壁となっておりましたが、今では年々普及が進んできたことで価格がこなれてきて採用しやすくなってきました。
高断熱を謳う工務店は「樹脂サッシ一択」という家づくりが当たり前となってきています。

さてここまでは家づくりを検討している一般の方ならば目新しい内容ではないと思います。
ここからは少し踏み込んだ解説をしていきたいと思います。

【サッシ(窓)の性能とは】

サッシ(窓)は、「枠」と「ガラス」で構成されているため、枠の性能とガラスの性能を掛け合わせて評価されますが、サッシ(窓)の性能は、ひとえに「熱貫流率(U値)」で評価されます。
「熱貫流率」とは、熱がどれだけ通過するかを数値で表したもので、低ければ低いほどサッシ(窓)の性能が高い(断熱性が高い)と評価されます。
熱貫流率はサッシ(窓)のみならず、壁や屋根などの建物全体の断熱評価にも使われ、断熱性能の評価でよく耳にする「Ua値」とはそれぞれの部位の熱貫流率の平均値(A:アベレージ)のことです。
似たような意味合いで「熱伝導率」という言葉がありますが、熱伝導率とはその物質の熱伝導性を評価する値で、「熱貫流率(U値)」はさらにその物質の厚みを考慮して評価される値なのでよりリアルな性能評価が可能となります。

話を戻しますが、それでは「サッシ(窓)」の性能(熱貫流率)を見ていきましょう。しかしながら数字だけ羅列してみても、その数値の大小は把握できますが、比較できる基準がなければ相対的にみてどうなのかが判断できませんよね!
そこで、サッシ(窓)と同じ面にある「壁」や、建物全体のUa値と並べて比較してみたいと思います。
今主流の「アルミ樹脂複合サッシ」と「樹脂サッシ」を国内2大メーカーである「LIXIL」、「YKKap」を例に挙げてみます。

サッシ(窓)U値比較表の画像
図1

図1にてそれぞれ代表的なサッシ(窓)商品のU値を表記してますが、サッシの種類、やガラスの種類によってU値はかなり変動しますので、サッシの種類は「縦すべり出し窓」という条件に揃えて比較しております。

この表から何を読み取るべきかを解説いたします。
表の数値から「アルミ樹脂複合サッシ」<「樹脂サッシ」 「ペアガラス」<「トリプルガラス」という関係性が確認できると思いますが、それは数値を見なくても感覚的にわかると思います。
注目してほしいの「壁のU値」との比較です。
壁のU値は一般的な壁の部材構成にて計算しており、U値はおよそ「0.4」という値になります。
現在最も普及している「アルミ樹脂複合サッシ/ペアガラス」のU値と比較すると、「1.66/0.4」或いは「1.76/0.4」でおよそ4倍以上の差があることがわかります。「樹脂サッシ/ペアガラス」と比較しても、「1.27/0.4」或いは「1.31/0.4」の計算にて3倍以上の差となります。言い換えれば、サッシ(窓)の断熱性能は、壁の1/3〜1/4の性能しかないということです。
続けて建物全体のUa値と比べてみても、窓がいかに建物全体の断熱性能の足を引っ張っているのかがよくわかると思います。

ここまで見てくると、よく目にする下の図もより納得し理解できるのではないでしょうか。

窓からの熱の出入りの説明画像
YKKapのHPより引用

【樹脂サッシ】を押す理由

今までの解説から、建物全体の断熱性能を高めるためにはサッシ(窓)選びが重要であることは理解できると思いますが、どんなに頑張っても「壁のU値」には及ばないサッシ(窓)選びにどれだけの価値があるのか?アルミ樹脂サッシではなく樹脂サッシを採用したとしても1/4が1/3、或いは1/2になったところでどれだけ効果が違うのか正直よくわからないというという声が聞こえてきそうです。

図1より「樹脂サッシ」は「アルミ樹脂複合サッシ」と比べておよそ25%ほど断熱性能(U値)が上がるだけではなく、もう一つ大きな利点があります。
それはサッシ枠の結露リスクに大きな差がある点です。
高断熱住宅は冬場の室内の乾燥が強くなる傾向にありますが、快適な温湿度を保つために20°C50%まで加湿をすると、アルミ樹脂複合サッシは「下枠」が必ず結露します。(松尾設計室 松尾氏より)
この結露を防ぐことができるのが「樹脂サッシ」なのです。

【まとめ】

主に注文住宅におけるサッシ(窓)について、性能の観点から解説してきました。サッシ(窓)の【断熱性能】と【対結露性能】において【樹脂サッシ】の選択が最適解と記してきましたが、実はサッシ(窓)のガラスというパーツはもっと多くの様々な選択肢があり、その選択によって断熱性能だけでなく暮らしやすさが左右されると言っても過言ではありません。
まずは枠を樹脂と決めて、次にガラスの特性や種類を選択しながらサッシ(窓)の商品を当てはめていくことが理想的なサッシ(窓)選びとなるのではないでしょうか。

それではまた。

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