2024.08.15
代表の鈴木です。
先日6月21日に投稿した【暑さを克服する家づくり】についての解説第2弾!
本日は「日射遮蔽」について記事にしていきたいと思います。
日射遮蔽の目的とは
日射遮蔽は、夏に窓からの日差しの侵入を抑え、室温上昇を抑制することで、より少ないエネルギーで冷房の効きを高める目的として重要視されています。
窓から差し込む夏の日差しの熱量は一般的な大きさの掃き出し窓(幅1.6m高さ2.0m)で実に600Wにもなり、こたつ1台又は電気ストーブ1台分の熱量とほぼ同じです。
日射遮蔽対策をしないという事は、太陽の日差しが差し込む窓の数だけ電気ストーブを焚きながら、冷房器具(エアコン)を動かしているようなもので、非常に効率が悪い事は理解できるかと思います。
そして建物室内の室温を上げる要因は、太陽からの日差しだけでなく、人の熱量、家電、住宅設備や照明器具の熱量などいくつもある反面、室温を下げる役割はエアコンだけが担っております。
それだけ夏の冷房は過酷な条件となるため、日射遮蔽対策にて室温上昇の大きな要因の一つを取り除く事は、冷房の負担を減らし、同時に冷房エネルギー削減にも大きく貢献する事になるのです。
そして日射遮蔽対策は、南の窓のみならず、東西の窓にも絶対に必要と言えます。
日射遮蔽対策の種類
【窓の外側で行う日射遮蔽対策】
・屋根の軒の出(庇)による日射遮蔽
・窓庇による日射遮蔽
・アウターシェードによる日射遮蔽
・オーニングによる日射遮蔽
・外付けブラインドによる日射遮蔽
・よしずや、すだれなどによる日射遮蔽
【窓の内側で行う日射遮蔽対策】
・遮熱タイプのロールスクリーンやカーテンによる日射遮蔽
・ハニカムブラインドによる日射遮蔽
それぞれの日射遮蔽対策について要点を絞って解説していきます。
窓の外側で行う日射遮蔽対策【屋根の軒の出(庇)】
日射遮蔽において屋根の軒の出(庇)は非常に効果的と考えられておりますが、どんな場合でも効果的なのかというとそうではありません。
まず、庇が日射遮蔽の効果を発揮するためには東西南北の方位に対して建物が25度以内で正対していることが条件となります。
例えば方位が25度以上ずれてしまうと庇の効果が弱まり、日射遮蔽が効き辛くなります。
また軒の出(庇)の寸法ですが、窓の下端から軒裏までの距離10に対して3の出寸法が理想的と言われております。
屋根の軒の出(庇)は最大でも一般的には1m未満となりますので、2階の窓の日射遮蔽には効果的ですが1階の窓については屋根の軒の出(庇)の効果は期待できません。
窓の外側で行う日射遮蔽対策【窓庇】
敷地条件や建物のデザイン上の問題で屋根の軒の出(庇)が計画できない場合、或いは1Fの窓で屋根の庇では日射遮蔽が叶わない場合は、窓ごとに窓庇を計画する方法があります。
屋根形状に左右されることがなく、窓の直上に設置することができ、サイズも豊富に用意されていますので、窓の大きさに応じて計画することができます。
ただし、窓庇についても屋根の軒の出による庇と同様に、方位が25度以上ずれてしまうと日射遮蔽の効果が薄れてしまうのは同様です。
窓の外側で行う日射遮蔽対策【アウターシェード】
窓の外側で行う日射遮蔽において、アウターシェード、スタイルシェードは万能な商品です。
「よしず」や「すだれ」の現代版といったところでしょうか。
方位や季節によって様々な角度から差し込む日差しに対して常に有効に対処することが可能です。
ロールスクリーンのような使い方なので、使わないときはすぐに巻き上げておくことができ、「よしず」や「すだれ」よりもだいぶ扱いやすくスタイリッシュです。
ただし、操作するためには窓を開けて窓の中心に位置する紐を引っ張る必要があるため、引き違い窓かドレーキップ窓にしか計画することができません。
窓の種類が限定されてしまうのがネックと言えます。
また昨今かなりの頻度で発生する嵐のような集中豪雨に見舞われた場合、うっかり巻きあげることを忘れてしまうと、強風で壊れてしまうリスクもあり得ます。
窓の外側で行う日射遮蔽対策【オーニング】
街の店先でよく見かける「オーニング」も日射遮蔽に有効です。
しかしながら一般的には庭に面した大きな吐き出し窓に対し限定的に計画される商品です。他の窓については他の日射遮蔽商品を計画する必要があります。
「オーニング」は電動タイプと手動タイプがあり、電動タイプの場合は急な降雨や強風があった場合、センサーが感知して自動で巻き取る仕組みを持った商品もあります。
窓の外側で行う日射遮蔽対策【外付けブラインド】
吹き抜け上部によく計画される大きなFIX窓などを外側から日射遮蔽するためには電動の外付けブラインドしかほぼ選択肢がありません。
やや無骨なデザイン、そしてかなり高価なので、採用のハードルが高い商品ですが、日射遮蔽の高い効果は期待できます。
ブラインド形式なので上下及び羽の角度がリモコン一つで自由に調整できるメリットがあり、あらゆる角度、方向からの日射遮蔽が可能です。
窓の外側で行う日射遮蔽対策【よしず や すだれ】
田舎のおじいちゃん、おばあちゃんの家に行くとよく見る「よしず」や「すだれ」は、先人の知恵と言うべき安くてとても効果的です。
ただし設置したり外したり、保管の問題を考えると都心部の住宅ではなかなか採用が難しいという判断になります。風情があるとも言えますが、モダンデザインの建物にはミスマッチと言わざるを得ませんね。
以上が窓の外側で行う日射遮蔽対策の解説となります。
次に窓の内側で行う日射遮蔽対策の解説をいたします。
窓の内側で行う日射遮蔽対策【カーテンや遮熱型のロールスクリーン】
カーテンやロールスクリーンも立派な日射遮蔽商品です。
最近は日射遮蔽に特化したカーテンやロールスクリーンもあります。
ただしカーテンやロールスクリーンの目的は「気になる視線対策」として考えられる傾向が強く、ダイニング、リビング、そして各居室の透明ガラスのみ設置されるケースが多い印象です。
曇りガラス(型ガラス)からも容赦無く日射の熱量は侵入してきますので、通常のカーテンやロールスクリーン計画では物足りないと言わざるを得ません。
窓の内側で行う日射遮蔽対策【ハニカムブラインド】
昨今人気のある「ハニカムブラインド」もカーテンやロールスクリーンと同様です。ハニカムブラインドは日射遮蔽よりも冬場に必要とされる断熱に真価を発揮する商品です。
効果的な日射遮蔽対策とは「窓の外側 VS 窓の内側」
窓の外側で行う日射遮蔽対策と窓の内側で行う日射遮蔽対策について解説してきましたが、どちらがより効果的なのかを解説していきます。
答えは「窓の外側で行う日射遮蔽対策」がより効果的です。
屋根の軒の出(庇)や窓庇、外付けブラインドなどで、窓にあたる日射を完全に防ぐことができれば(影にすることができれば)日射遮蔽は100%実現と言えます。
オーニングやアウターシェードについては、生地の素材や色によって若干の違いはありますが、概ね80%〜90%前後の日射熱をカットすることが可能です。
それに対し窓の内側での日射遮蔽は、一度窓ガラスを通して室内側に熱が侵入し、カーテンやロールスクリーンの間に熱が滞留したあとに、カーテンやロールスクリーンの隙間から或いは生地の熱伝導によって徐々に室内側に熱が伝わってきます。
日射遮蔽は「窓の外側で行う」ことが基本とされるのはそのためです。
ガラスによる日射遮蔽の効果は?
昨今新築の窓ガラスは「Low-Eガラス」が一般的となり、日射遮蔽型と日射取得型の2種類が存在しております。
日射遮蔽型の場合、およそ50〜60%の日射熱をカットする効果があります。
日射熱を半減する効果はあれど、ガラスだけで日射遮蔽対策と考えるのは少々無理があります。
やはりLow-Eガラスを計画した上で、他の日射遮蔽対策と併用することが大切です。
まとめ
以上、日射遮蔽対策について解説してきました。
住まいは敷地条件によって、或いは法規制やデザインによって様々な形が存在します。日射遮蔽対策はそれぞれの条件を考察し、適材適所に相応しい対策を行うことで、夏の猛暑を乗り切り、経済的にエアコン(冷房)を効かせることができるのです。
それではまた。
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