私は、この住宅業界に入って今年で27年目になります。
主に営業と施工管理には長い期間携わってきました。
この27年を振り返ってみると、この業界大きく進化したことと、あまり進化してないことがあることに気づきます。
今回のブログは「営業」の観点から注文住宅の営業の仕事〜進化と停滞〜を記していきたいと思います。
以前、私が大手ハウスメーカーの住宅展示場で営業をしていた頃の営業のやり方は、以下のようにパターン化されていたように思います。
1・FA(ファーストアプローチ)
お客様と初めての商談です。
手作りのアプローチブックを片手に、自分自身のことや会社のこと、自社の構造や性能のアピールを行います。
必要と感じれば他社批判だってガンガンします!(笑
FA(ファーストアプローチ)は、お客様から次の営業ステップの依頼をいただけるかどうかの重要な営業活動として、会社もFAの重要性を各営業マンに植え付けていました。
社内の営業研修でも建物に対する知識や勉強会よりも、お客様の心理を読み解くことに主眼をおいた研修が多かったように記憶してます。
いかにお客様の心を掴むか!話術が重要だと教わったものです。
2・現調獲得
現調とは敷地調査、役所調査のことで、ここで初めてお客様の土地を見る機会を与えられたということになります。
現調獲得はお客様よりプラン提案を望まれたという証で、会社からの評価も非常に高い営業ステップでした。
3・PI(プランインタビュー)
お客様から間取りの要望をあれこれ聞く打合せです。
この打合せで得られた多くの情報が次回のプラン提出にかかってますので、理想的には設計者を同席させて一緒に話を伺います。
4・PT(プラン提出)
ここでライバル会社との比較競争が始まります。
一発でお客様から「いいね!」はなかなかもらえないため、何度も修正・変更を重ね、再PTを重ねていきます。
ここで頑張らないと、お客様からふるいにかけられ、次のMT(見積り提出)に進めません。
5・MT(見積もり提出)
前回のPT(プラン提出)まではお客様にとって本当に楽しい打合せですが、MT(見積もり提出)は必ずと言っていいほど、お客様の表情が曇る打合せとなります。
PTの段階で散々お客様の要望を聞きまくり、お客様が望むプランや仕様に整えたものを、値段が高いからという理由でそう簡単にプラン内容や仕様を変更したりすることはしません。
何とかお客様に予算を上げてもらうか、または予算に近づけるために細々見積もり調整や仕様調整を行います。
6・CL(クロージング)
MT(見積もり提出)を終えたらあとは返事(結論)をもらうだけです。
金額しだいという空気感から
「今決めてくれたら◯◯◯万円引き!」
「今月決めてくれたら◯◯◯万円引き!」
と各社がやり合い、またお客様もそれに乗って値引きを煽ります。
しかしながら値引きだけでは限界があります。
営業マンはお客様に少しでも好印象を与えるべく、手作りの仕様書を用意します。
カタログから玄関ドアやサッシ、外壁、床や建具やキッチン、浴室などの写真画像を切り取りプレゼンボードに貼付けます。
「お客様のためにここまで手間かけて作りました〜!」と多少、情にも訴えた営業も行いました。
今思えば非常にアナログ的です。
以上が当時のハウスメーカーの営業マンの平均的な営業のシナリオでした。
お客様と初めて出会い、FA〜CLまでに費やす期間は、当時でおよそ1ヶ月〜2ヶ月。
無事にご契約いただければ100点ですが、決まらなければ0点。
0か100の世界で、中間はありません。
情報獲得からAP(アポイント)まで進展する確率が約10%、そしてAPからPT(プラン提出)まで進展する確率が約30%、そこから契約まで持ち込める確率が約30%という非常に難しい仕事でした。
成約率から逆算すれば、「数打てば当たる」という類の率の仕事ですが、住宅営業は数で勝負する営業ではありません。
住宅営業の昔と今
さて、あれから15年くらい経った今、住宅営業はどのように変わってきたのでしょうか?
それとも変わってないのでしょうか?
最近、私もご契約前のお客様との打合せに出席するようにしているため、15年ぶりの営業の世界の変化を目の当たりにします。
インターネットとコンピューターが変えた営業手法
まず変わった点ですが、インターネットで多くの情報が手に入る時代ですので、お客様は事前にその会社のHPにて、会社のことや施工例などを確認し、ある程度絞って会社にコンタクトをとってきます。
ですから、以前のように営業マン自らが手作りのアプローチブックを使った会社説明や、性能の差別化に費やす時間がだいぶ減りました。
またコンピューター全盛の時代、プレゼンの表現力が大きく向上しました。
比較的安価なソフトでも、非常にリアルなCGパースを作成することができ、より鮮明に完成イメージをお客様に伝えることができます。
大手ハウスメーカーは大きな資金力を活かし、VR(仮装現実)を駆使したv仮装体験も営業に取り入れてきています。
変わったのは技術の進化に伴うもの。
これはどの業界でも同じですね。
またマンパワーの使い方も変化を感じてます。
以前は営業担当者が一人で奮闘し、最後のCL(クロージング)に上司が同行するというのが一般的でしたが、今は少し様子が違うようです。
これは実際にお客様から伺った話ですが、特にハウスメーカーとの打合せでは、スーツを着た大人たちが5人、6人と現れて、一斉にCL(クロージング)に取り掛かるそうです。
あまりの圧力に恐怖すら感じたそうです。
お客様はその大人たちを戦闘員と表現してました。(笑
誰でも知っている大手ハウスメーカーです。
また別のお客様からも同様の話を聞きましたので、大手ハウスメーカーではこのような営業手法が主流なのかもしれません。
大手ハウスメーカーの資金力やマンパワーにどう対抗していくか!?
なかなか考えさせられる時代です。
また、以前は家を建てる(注文住宅)といえばハウスメーカーか地元の工務店がそのほとんどを担っていたと思いますが、今は設計事務所や建築家と呼ばれる人たちが住宅供給側の主役に踊り出る勢いを持っています。
これもインターネットの普及に比例して、個人レベルでもHPを使ってその存在を露出する機会を持ったからでしょう。
変わらぬ停滞マンパワー
その一方で昔から変わらないと感じることがあります。
それは住宅供給者のレベルです。施工レベルについては次回のブログに記しますが、ここでいう住宅供給者とはお客様と最初に接点を持つ営業マンです。
私が営業マンをしていた15年ほど前は、売れている営業マンは不思議と建築に関してはほとんど素人レベルの人でした。
あまり現場のことを知らない方がいいという話もあったように思います。
また、その売れている営業マンは、おそらく住宅営業でなくてもそれが車でも保険でも何でも売れた人たちだったと思います。
要は根っからのセールスマンなんです。
そしてそれは今も変わっていないように感じます。
あまり家づくりのことや、建物の技術的なことを知らない営業マンが、売れている営業マン=優秀な営業マンとしてこの業界に君臨しているわけです。
私は持論として営業マンのレベルが上がらないと、お客様のレベルも上がらないと思っています。
このことは、次回の住宅の施工レベルの話にも結びついてきます。
少しわかりにくい表現になってしまいました。
簡単にまとめると、時代の流れとともに変わったのは技術の進歩に伴う事。
変わらないのは家づくりの本質を伝える側の能力的な部分。こんな感じでしょうか。
次回は、「施工管理」の観点から変わったこと、変わらないことの私なりの私見を記したいと思います。
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