代表の鈴木です。
これまで何度も構造計算「許容応力度計算」の重要性をブログで書いてきました。構造計算って!?【日本一わかりやすい構造計算の解説】
もちろんこれからもどんどん訴えていくつもりです。
しかしながら何だか難しい内容なので、はたしてうまく伝わっているのか?一般の人たちはどのくらい理解できるのか?は常に自問自答しながら、もっとわかりやすい伝え方がないか模索している日々です。
先日「SE構法」の登録店勉強会があり、そこで得た情報が自分にとってとても印象的だったので、改めて内容を整理するとともに、皆様にもお伝えしたいと思いました。
建築基準法では命は守れない!
まず、建築は「建築基準法」という法律に則って計画されます。
その建築基準法1条にはこう記載されています。
【この法律は、建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする】
つまり、建築基準法は、必要十分な基準ではなく最低限の基準しか定めていないということを認識してください。
また、建築基準法6条4には、【木造2階建て500㎡以下等といった小規模建物(日本の住宅のほとんどがこれに該当します)には、構造の審査を省略する】という特例が定められており、(通称:四号特例)事実上、構造の安全性が全く確かめられていないという現実があります。
住宅営業マンが、「建築基準法は守っています」という言葉を聞いて、安心だとは決して思わないでください。
さらに建築基準法20条にはこう書かれています。
【建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない(途中省略)】
ところが、木造2階建て500㎡以下等といった小規模建物、日本の住宅の多くが該当するこの規模の建物は構造計算で安全性を確認しなくても建物が建ってしまうのです。
みなさん、この現実をどう感じられますか?
日本の住宅の多くは、建築基準法の施行令や仕様規定だけで構造が決められていますが、仕様規定だけで設計した家を構造計算してみるとほぼ100%の割合で部材の強度が不足する等のエラー判定がでます。法律では仕様規定だけで建てられる仕組みになっていても、構造計算を行えば仕様規定だけでは構造安全性(耐震性)を十分に確保することができないという結果が出ているのです。
みなさん、この現実を受け止められますか?
あなたは自分の住まいに殺される!?
1995年に発生した阪神淡路大震災のデーターですが、建物倒壊までの時間は5〜10秒だそうです。たったこれだけの時間で建物から逃げることができますか?
そして家屋倒壊後の生存時間は14分だそうです。阪神淡路大震災では6000人以上の方が命を落としていますが、およそ80%の人が家屋の倒壊によって15分以内に亡くなっています。
建築基準法と耐震等級の関係に衝撃的事実!
大きな地震を経験するたびに耐震性について関心が持たれ、国も対策を講じてはきてます。
相変わらず構造計算の義務化とはなりませんが、品確法や長期優良住宅、耐震等級の設定などで以前よりも耐震性の高い建物が供給される割合が増えてきました。
家づくりを検討したことがある方ならば、【耐震等級】という言葉は聞いたことがあると思います。
- 耐震等級1は建築基準法レベル
- 耐震等級2は耐震等級1の1.25倍
- 耐震等級3は耐震等級1の1.5倍
というものです。
ここで先日の勉強会で、耐震等級1=建築基準法レベルではないという話がありました。
実際には建築基準法の仕様規定による建物は、実は品確法の基準壁量を満たしていないそうです。
色々と検証をすると、基準法レベルは耐震等級1に対して約0.75倍しかない可能性があるという話がありました。
衝撃的な事実です。
これをまとめると
- 建築基準法は耐震等級1の0.75倍
- 耐震等級1は建築基準法の1.3倍
- 耐震等級2は耐震等級1の1.25倍
- 耐震等級3は耐震等級1の1.5倍
となります。
何だかこんがらがってきましたね!
要は、建築業界の特に構造安全性に関しては「あなたの知らない世界」であるということです。
自分の身は自分で守る!
決して業者任せにはしないという意識が大切ですね。
今までの話しは、先日のSE構法の登録店勉強会で、「一般社団法人 耐震住宅100%実行委員会が、住宅を提供する設計者、工務店宛にまとめた資料」の抜粋です。
住宅を供給する我々だけでなく、ぜひ一般の方にも知ってほしい、問題意識を持ってほしいと思いこの記事を書くことにしました。
今度こそ、構造計算をわかりやすく話していこうと思いまいしたが、あらためて読み返してみるとやはり難しい内容になってしまったかもしれません。
でもこれからも様々な視点から構造計算の重要性を唱えていきたいと思っております。
それではまた。
2018.10.12
弊社HPに詳しく構造計算について解説しています。
ぜひこちらもご覧ください。
【日本一わかりやすい構造計算の解説】
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