台風に強い家づくりは可能か!?「屋根・窓ガラスを守る!」耐風性能とハザードマップに注目

代表の鈴木です。

本日は「台風に強い家づくりは可能か!?」というテーマでお話をしていきたいと思います。

台風と言うと、強い雨と強い風のイメージですが、今回の台風19号によって水害の恐ろしさをまざまざと思い知らされました。

考えてみれば河川の多い日本ですから、川が氾濫するリスクは常にあると言われれば分からないではないですが、「まさか!」と考えるのが人間です。

東京、埼玉南部を商圏としている我が社は、今回の台風19号に対して正直、強風を警戒してました。

風速50mだの60mだのという風が吹かれたら、建物も甚大な被害が出ると覚悟してました。

ところが実際に暴風雨は山間部がひどく、平野部ではそうでもない!?という状況で「あれっ!?」と思ってたら、河川が暴れましたね!

河川が次々に氾濫し、住宅地が濁流に埋まっていく映像を見ていると、心が痛むと同時に、住宅供給者として「何かできたかな!?」と考えます。

しかしあの惨事を見る限り、建築としてできることは皆無だなと思いました。

2m、3m、あるいはそれ以上の浸水被害を、建築の領域で防ぐことはできません。

自然の猛威のなかではやはり人間は無力ですね!

では諦めるしかないのでしょうか?

ちょっと冷静になって、この機会にあらためて台風に強い家づくりを考えてみたいと思います。

台風に強い家づくりは可能か!?

台風に強い家づくりの画像
目次

1 屋根が飛ばされる理由とは

2 屋根が飛ばされないためにやるべきこと

3 窓ガラスを守るための対策

4 耐風性能ってご存知ですか?

5 火災保険を今一度確認すべき

6 ハザードマップの確認とおすすめサイト

7 まとめ

1 屋根が飛ばされる理由とは

大型台風の後で、瓦や屋根の一部が飛んでしまった家の映像をよく見ると思います。

記憶に新しい台風15号では千葉県で多くの家の屋根が飛ばされてしまいました。

何故か、古い家の瓦の屋根の被害が目立ちましたね。

あのような映像を見ると、「瓦は台風に弱いのか!?」と考えてしまいますが、決してそうではありません。

台風などの強風で屋根が飛散してしまう原因は下記のように言われています。

1・正しい施工基準に基づいた屋根材の施工がなされていない。

2・元々屋根の下地材(野地板)が腐朽していて釘の保持力が低下している。

3・屋根の下地材を受けている垂木という部材が建物に十分に緊結されていない。

4・建築基準法や、メーカーが保証している基準の風速を超える風を受けた。
 

大体この4つで説明がつくようです。

2 屋根が飛ばされないためにやるべきこと

屋根が台風のような強風でも飛ばされないためには、「垂木をしっかりと建物の構造体に緊結し、下地材が腐らないように計画し、正しい施工手順で屋根を葺く」ということを実現していくことです。

一つずつ解説していきます。

2-1 屋根材の正しい施工について注意すること。

どんな屋根材でも、その屋根材に合った正しい施工をしていれば、そうそう簡単に被害にあうことはありません。

ただ、「正しい施工をしていれば〜」というフレーズは当たり前なのですが、なかなかできていないケースもあるようです。

正しい施工ができない理由としていくつか考えられることがあります。

1・職人の経験不足からくる施工知識の乏しさ。

2・施工単価の安さからくる手抜き。

3・職人不足からくる忙しさが誘発する手抜き。

正しい施工を望むためには、適性な施工単価と適切な施工日数の確保がまず大前提だと考えてください。

特に自営業の方なら自分の仕事に置き換えて考えてみるとわかります。

同じ仕事内容の場合、急ぎの仕事でたいしたお金も貰えない仕事と、方や適切な時間が与えられ適性なお金が貰える仕事があった場合、どちらも同じクォリティーで納品できますか?

答えは明白なはずです。

職人の世界は、特にそうであることを覚えておいて下さい。

「安い!」ことは結局あなたの為にはなっていないのです。

2-2 屋根の下地材を腐朽から守るために

屋根の下地材の状態は外から見えないことが厄介です。

仮に相当傷んでいても、屋根の上をよく歩いて見ない限り、下地材の腐朽を疑うことは難しいです。

しかしながら下地材が腐朽していると、たとえ正しい施工で屋根材が葺かれていても、釘やビスの保持力がなくなり台風などの強風で屋根材が飛ばされてしまうのです。

屋根の下地材が腐朽してしまう理由とは

1 直接的な雨漏りによる腐朽

2 通気不足による結露からくる腐朽

この2つが原因です。

【1 直接的な雨漏りによる下地の腐朽を防ぐためには】

屋根の大きな役割である防水については、屋根の仕上材と防水紙の2つが担ってます。

屋根材の裏にもし雨水が回り込んでも、下地の上に貼ってある「防水紙」が最後の砦となって雨漏りを防ぎます。

ですから、「防水紙」が非常に重要な役割を担っているのです。

雨水がこの防水紙を突破し下地材に到達すると、雨漏りしてしまうだけでなく急速に腐り始め、屋根の仕上げ材の固定も弱くなり台風で被害を受けてしまうことになります。

なので、本当はもっと「防水紙」の選定にもっとこだわるべきだと私は思いますが、「防水紙」にこだわりを持っている工務店さんはほとんどいないのが現状です。

「防水紙」はとても地味な建材ですが、代表的なメーカーである【TAJIMA】のHPを見てみると、実に21種類もの商品ラインナップが存在しております。(2019.10.24日現在)

https://www.tajima.jp/juken/index02_01.html

屋根の勾配や工法によって、性能とコストのバランスをよく考えて最適解の防水紙を選択したいものです。

【2 通気不足による結露からくる腐朽を防ぐためには】

屋根の裏側(下側)には小屋裏と呼ばれる空間があります。

通常デッドスペースになっていて、普段目にする機会もほとんどない空間ですが、建物で一番高い部分の空間なので、常に温度が高く湿度も高い空間です。

季節によって露点温度に達するとあっという間に結露し下地材を腐らせますので、十分通気させることで結露を防ぐ必要があります。

建物完成後、数ヶ月で結露により下地材が腐ってしまった例は、全国でいくらでもあります。

この対策はどちらかといえば、施工職人の問題というよりは、建物の設計・施工側の問題ですので、設計・施工者がしっかりと計画し指示することが大事です。

2-3 小屋組の構造で気をつけること

屋根の仕上材だけでなく、屋根の下地材ごと飛ばされてしまった家の映像を見たことがあると思います。

強風時には、屋根面に非常に強い風圧がかかりますので、その力に耐えうる構造でなければなりません。

屋根の下地材を留めている垂木という部材がありますが、この垂木が建物としっかり緊結されていることが必要です。

緊結には、通常「ひねり金物」や「くら金物」、最近では「タルキック」等という金物が使われます。

構造金物の中では非常に地味な金物ですが、しっかりとした施工管理が必要です。

2-4 想定外の強風に対しての対策

どんなに正しい施工を施しても、建築基準法やメーカーが保証している基準以上の風を受けることもありえるでしょう!

この領域になってくると、正直「運」によるところかもしれません。

万が一被害にあってしまった場合は、後に説明する「火災保険」が重要です。

3 窓ガラスを守るための対策

さて、屋根の次に被害を見るのはやはり窓ガラスの破損ですね!

寝室やリビングなどに計画されがちな大きなサッシには「シャッター」を計画するのが安心です。

吹き抜けなどの高い位置の大きなサッシには、「電動シャッター」の計画が、マストかと思います。

近年、デザイン重視の建築が増えて、シャッターの採用率が非常に少ないですが、やはりこれだけ自然災害が多いとあらためて積極的なシャッターの計画を再考しなければならないと感じてます。

大型の台風が来て、飛散物でガラスが割れる被害が多く発生すると、サッシ業者にはガラス交換の依頼が殺到しなかなか修理できるまでに時間がかかります。

「真冬だったら!、雨続きだったら!」と考えるとゾッとします。

シャッターがつかない形状の窓や小さな窓ガラスなら、ガラスに「飛散防止フィルム」が貼られていると安心です。

「網入りガラス」も有効かもしれません。

たとえ飛散物がぶつかり、ガラスが割れてしまっても原型は留めていますので、修理までに時間がかかっても何とか生活できますよね!

1Fならば、防犯も兼ねて「防犯ガラス」を計画すれば二重の安心が得られます。

さて、屋根、窓ときたら次は何でしょうか!?

4 耐風性能ってご存知ですか?

ここで少し建物の構造の話をします。

「構造の話は地震対策だろ!」と思うかもしれませんが、実は地震対策でいう「耐震性能」と同じく、風対策でいう耐風性能という評価基準があります。

耐風性能は、耐風性能1と耐風性能2という2つのランクがあります。

耐風性能1は建築基準法レベルで耐風性能2は、その1.2倍の耐力を持つ基準です。

実はこの耐風等級2はなかなかのもので、耐震等級3を取得するよりも、構造的に厳しいと言われています。

それだけ風の力は侮れないという証拠ですね。

竜巻のような異次元の強風は別として、風速50m、60mの風で建物そのものが飛ばされることはないと思いますが、かなり揺れを感じることはあると思います。

地震の揺れは長くても1分も揺れてませんが、強風は数時間続く可能性があります。

揺れを感じれば恐怖を抱きますし、建物にとっても良いことではないと思います。

まずは、「耐風性能」という評価があることを認識していただければ幸いです。

5 火災保険を今一度確認すべき

万一被害にあってしまった場合、あなたを救ってくれるのは「火災保険」です。

たいていの方は火災保険に加入されると思いますが、火災保険は「風災」や「水災」も保証されます。

しかしながら、その内容や上限保証金額、特約やオプションなどもしっかり確認して加入されることをおすすめいたします。

6 ハザードマップの確認とおすすめサイト

これから土地を購入して家を建てようと考えている方へ。

まず候補地の「ハザードマップ」を確認して見て下さい。

「ハザードマップ+市町村名」で検索していただければ、ネットでも確認する事ができます。

50㎝以上の浸水エリアの場合、なかなか建築側で対策を打つことは難しいと思ってください。

また、もう一つお役立ちサイトとして、ジャパンホームシールド社が提供している「地盤サポートマップ」を見てみることをお勧めします。

地盤サポートマップ

こちらのサイトを開き、「住所検索欄」に候補地住所を入力し検索するとこで、以下の情報が無料で得る事ができます。

標高

地形

地質

避難所の場所

浸水の可能性

地震時の揺れやすさ

液状化の可能性

土砂災害の可能性

あくまでも参考値ですが、客観的にその土地の特性を知る事ができます。

7 まとめ

台風に強い家づくりは可能か!?】というテーマでお話ししてきましたが、結論から言えば、ある程度知識をもって家づくりを計画すれば、いざという時に困らない、あるいは被害が少ないという家づくりは可能であると言えます。

建築で可能なことと、不可能なことを理解して、まずできることは確実に計画することが大切かと思います。

この日本で暮らす以上、地震対策と台風対策は避けられません。

ぜひ、安心安全なづくりを目指しましょう!

それではまた。

2019.10.28

★こちらの記事もおすすめ→【SE構法とは何?】

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