注文住宅のおすすめ換気設備を解説|アーキ・モーダ

代表の鈴木です。

今日は注文住宅におすすめの換気設備についてお話します。

新型コロナウイルスによって換気の重要性がクローズアップされておりますが、住宅における換気の基準は建築基準法により今から15年ほど前の2015年に義務化されております。

「1時間に家の室内全体の空気が0.5回入れ替わるように計画しなさい」という基準です。

この法律が義務化された背景には、当時ホルムアルデヒドに代表される建築建材に含まれる有害物質によって住む方が体調不良に陥ることが社会問題になったことに起因しています。

そういえば、自然素材ブームが湧き上がってきたのもこの頃からだったと思います。

有害物質を換気計画によって屋外に排出するのと同時に、建築建材の非ホルムアルデヒド化も進み、今やホルムアルデヒドのような有害物質を含む建材を見つける方が大変!という状況まで改善されております。

非ホルムアルデヒド化の過程では、F⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎(エフ-フォースター)という基準が注目されていましたが、今は当たり前の基準としてさほど注目もされない状況です。

建材(特に接着剤)に含まれていた有害物質については、建材メーカーの対策によってほぼ解決されましたが、換気基準についてはそのまま残っていて、それが24時間換気(常時換気)と呼ばれるものなのです。

それぞれの換気扇を常時運転状態にして、法律で決められている0.5回/1h家の空気が入れ替わるように各居室に給気口を設け、半ば強制的に換気を行うことになっています。

排気と給気の方法は3種類あって、それぞれ「第1種換気」「第2種換気」「第3種換気」と定義されています。

おすすめの換気設備

おすすめの換気設備の画像

まずは、ごく一般的な「第3種換気システム」からお話ししたいと思います。

第3種換気システムでおすすめの換気扇

もともと家には、昔から換気設備が「キッチン」と「お風呂」と「トイレ」の3ヶ所で計画されていましたが第3種換気システムでは、それがそのまま流用できます。

第3種換気システムは、排気が機械(換気扇)で給気が自然給気(給気口)という組み合わせで、非常に安価に計画できるメリットがあり、システムもメンテナンスも非常にシンプルなこともあって、今一番使われている換気システムです。

では、換気扇と給気口に分けてそれぞれおすすめの機種をご紹介していきたいと思います。

【トイレ用の換気扇】

まず多くの換気扇は、天井と壁両方の設置が可能になっています。

一般的には壁設置が計画されると思いますが、トイレが外壁面に面していない或いはプラン上の制約で壁設置が敵わないという場合は天井設置が計画されます。

ただし、可能であれば壁設置をおすすめします。

なぜなら天井設置の場合は、どうしても外部フードまでがダクトで計画されますので、そのダクト内の長期メンテナンスに不安が残るためです。

ダクト自体は壊れたり傷んだりすることはありませんが、ダクト内部にたまる埃が気になりますし、ダクトがあると排気効率も落ちます。

次に換気扇本体の選び方ですが、ざっくり分けると以下の3種類が流通しています。

  1. 直接換気扇の羽が見えるタイプ
  2. 正面にパネルがあって直接羽が見えないタイプ
  3. 普段は正面のパネルが閉じていて運転時にパネルが開くタイプ
直接羽が見えるタイプの換気扇の画像
① 直接羽が見えるタイプ
更科製作所のHPより引用
直接羽が見えないタイプの換気扇の画像
② 直接羽が見えないタイプ
更科製作所のHPより引用
とじぴた換気扇の画像
③ 普段は正面のパネルが閉じていて運転時にパネルが開くタイプ
三菱電機のカタログより引用

おすすめは③の「普段は正面のパネルが閉じていて運転時にパネルが開くタイプ」です。

換気扇は外部とつながっていますので、運転を止めている時は外気が勝手に流入してきたり虫が入り込んだりしますし、台風時に風向きによっては、雨が吹き込む可能性もあります。

換気の考え方としては、「外気は新鮮で綺麗な空気」と定義されていますが、実際は「花粉」「PM2.5」「ウイルス」などもあるわけで、けして新鮮で綺麗な空気とは言えない時期もありますよね。

よって使わない時は、外気と遮断されている方が理想的です。

価格もそれほど高くないので検討の価値は十分あるのではないかと思います。

【お風呂用の換気扇】

多くの方が採用されるユニットバスでは、各メーカーごとに換気扇は標準品がスペックされていますので、選択肢としては標準品の換気扇を選ぶか、オプション設定されている暖房換気乾燥機を選ぶかの選択になります。

個人的には、高気密・高断熱住宅であって洗面脱衣所に「ガス衣類乾燥機(乾太くん)」が計画できるのであれば、暖房換気乾燥機は不要かと思います。

ただし今は暖房換気乾燥機が非常に安価ですので、標準設定されている工務店さんが多いのも事実です。

最近は、ミスト機能がついたり多機能な暖房換気乾燥機もラインナップされていますが、将来のメンテナンスや壊れたときの修理代、交換費用は高くつくので、私個人的のはオススメしていません。

【キッチン用の換気扇】

キッチン用の換気扇といえばレンジフードです。

最近の間取りの傾向としてシステムキッチンがアイランド形式でLDKからよく見える配置、または対面式の配置でも吊り戸棚を計画せず、天井がLDと繋がりすっきりと見せる計画が多くなってきました。

そうするとレンジフードも空間に露出してきますので、デザイン性にこだわる方が多くなってきました。

その傾向に合わせ、メーカー側も多彩な商品を揃えております。

レンジフードを選ぶポイントとしてあげられるのは

  • デザインの良さ
  • 清掃性の良さ
  • 同時給排機能の有無

この辺りかと思います。

この中で、清掃性については非常に関心が高い項目です。

レンジフードの掃除はなかなか大変なことは皆さんご承知かと思いますが、油汚れがメインなので掃除を怠ると換気効率にも影響してしまいます。

「わかってはいるけどレンジフードの掃除は苦手!」という方にはこちらの2機種がおすすめです。

1. Panasonicの全自動おそうじファン付「ほっとくリーンフード」

ファンのお掃除は10年に1回でよいというレンジフードです。

おすすめレンジフードの画像
Panasonic「ほっとくリーンフード」
PanasonicのHPより引用

2. クリナップの「洗エール レンジフード」

こちらも約10年間は自動でファンを洗うというレンジフードです。

洗エール レンジフードの画像
クリナップ「洗エール レンジフード」
クリナップのHPより引用

特にクリナップの「洗エール レンジフード」は同時給排式も選択可能で、デザインも良いと思うので個人的にはおすすめです。

「定期的にレンジフードのお掃除はしています!」という方には、各システムキッチンメーカーで設定されているレンジフードの中で、「お掃除が楽!」とアナウンスされているシリーズを選べば、普段のお掃除もだいぶ楽になるのではないでしょうか。

その中でも、タカラスタンダードの「ホーロークリーンレンジフード」はおすすめです。

ホーロークリーンレンジフードの画像
タカラスタンダード「ホーロークリーンレンジフード」
タカラスタンダードのHPより引用

ホーローの耐久性と素材の特性から、効果が長く続くと予想できるからです。

用途に合わせて様々な換気扇があります

その他、換気扇を計画するケースとしてよくあるのは、「洗面脱衣室」「小屋裏収納」「シューズクローク」「ペットのお部屋」などです。

ここでは詳しく解説はしませんが、「洗面脱衣室」ならば湿度センサー付の換気扇、「小屋裏収納」であれば温度センサー付の換気扇、「シューズクローク」や「ペットのお部屋」では、脱臭機能付き換気扇など、それぞれの用途に合った換気扇がありますので、気になる方は調べてみることをおすすめします。

換気扇の種類は、今現在「三菱電機株式会社」が住宅用において一番種類が豊富だと思います。

第3種換気における排気(換気扇)について述べてきましたが、今度は給気口のお話しです。

おすすめの給気口

第3種換気システムの給気は自然給気なので、外部にはフードがついて室内側にはレジスターというものがつくだけです。

排気による負圧によってこの給気口から外気が勝手に入ってくるので、そのほとんどはホコリや花粉の侵入を防ぐためのフィルターが設置されています。

どのタイプも交換可能で洗うことができます。

取り付ける場所は壁が一般的ですが、ダクトを使い天井に設置することも可能です。

トイレの換気扇のところで、あまりダクトを使う天井設置型はおすすめしないと言いましたが、給気口にはフィルターが設置されていて基本的に埃や花粉などの侵入はフィルターでブロックできますので、あまり神経質になる必要はないかと考えています。

形状は角型か円形の選択ですが、これについては好みとインテリアデザインとのバランスで選択すれば良いかと思います。

デザイン優先で有れば壁からの出っ張りが少ないタイプが良いと思いますが、機能にも目を向けると、取り込む空気の流れに注目です。

角形の給気口の画像
薄型で角形の給気口
更科製作所のHPより引用
円形の給気口の画像
円形の給気口
更科製作所のHPより引用
冷気緩和の工夫がある給気口の画像
冷気緩和の工夫がある給気口
更科製作所のHPより引用

たいていの商品は給気口を中心に全方位から空気が侵入してきますが、一部の商品は給気口上部からのみ外気を入れる仕組みになっています。

24時間換気の給気口は一般的に壁の上部(床から2m前後の高さ)に計画されることが多いため、給気口の近くにいるときに特に冬場の冷気を直接身体に当てないような配慮がされています。

とことん機能にこだわるか、デザイン優先かは好みで選択されても大丈夫です。

大勢に影響はありません。

第1種換気システムの話

今まで第3種換気のお話をしてきましたが、最近話題になることが多い第1種換気についても少しだけお話しておこうと思います。

なぜ少しだけかと言うと、そもそも断熱区分の5地域、6地域においては、採用の優先順位はかなり低いと考えているからです。

第1種換気についてはこちらのブログで詳しく解説してますので、最初に見ていただければと思います。

【第1種換気システムは必要か!?】

それでも採用を検討するならば東京、埼玉の都心部においては、ダクトレスの第1種換気システムが良いかと思います。

その理由もこちらのブログでお話ししています。

【第1種換気システムは必要か!?】

ダクトレスの第一種換気システムは弊社では過去に2物件ほど計画しました。

1棟目は日本スティーベル株式会社の「ツイン・エアー・フレッシュ」、そして2棟目は省エネテック株式会社の「ヴェントサン」です。

いずれも開発がドイツで行われたもので、日本仕様に改造された商品です。

しかしながら、施工費を含めた価格はやはり高かったですね!

純国産メーカーでは北海道にある株式会社キムラが今年になって「エアーセーブ」というダクトレス全熱交換換気システムを発売しました。

ちょうど具体的な案件があり見積もりを取ってみましたが、今まで採用してきたものよりはコストが抑えられていました。

残念ながら今回は採用には至りませんでしたが、今後に期待したいと思います。

その他おすすめの換気扇は!?

その他おすすめの換気設備をご紹介します。

ちょっとマニアックですが、弊社では何度か【カウンターアローファン】を計画しています。

カウンターアローファンとは1台の機械で排気方向をスイッチ一つで逆転できる隠蔽型のファンですが、メーカーによる使用イメージは下記のような使い方です。

カウンターアローファンの画像
三菱電機のカウンターアローファン」
三菱電機のカタログより引用
カウンターアローファンの使用例の画像
カウンターアローファンの使用例
三菱電機のカタログより引用

弊社では基礎断熱工法が主流で床下エアコンを計画することが多いのですが、その際に床下エアコンで温められた床下の空気を上層階に送ったり小屋裏やロフトと床下空間を繋いで空気を攪拌したりしてますが、夏場と冬場で空気の流れを反転できるためにメリットを感じております。

まとめ

家の換気設備を語る場合、今は24時間換気システムの話が主となります。

「第1種換気システムと第3種換気システムのどちらがいいのか?」という話になりがちですが、それぞれを採用した場合にどの機種がいいのか?実際にどんな種類の換気扇があるのかに注目されるお客様はそれほど多くはおりません。

特に第3種換気システムの換気設備(換気扇)は多くの種類がありますので、ぜひ注目されてみてはいかがでしょうか?

価格も安いので!

それではまた。

こちらの記事もおすすめです:SE構法とは何?【日本一わかりやすい「SE構法」の解説】

2020.05.10

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