代表の鈴木です。
注文住宅には値札がついておりません。
フルオーダーの世界なのでいくらにでもなり得るのですが、それでも「一体いくらなのか!?」お客様からしたら想像もできないのが注文住宅の印象かと思います。
もちろん大まかな相場というものはありますが、ローコスト系、高性能系、デザイン系、ハウスメーカー系と価格の幅はかなり振れているが現実です。
そこで大事なことは、お客様が「いくらかけられるのか!?」という話になります。
多くのお客様は住宅ローンを利用しますので、そうなると月々の返済はいくらまで可能なのかという判断からおおよそ家づくりにかけられる予算が決まってきます。
予算が決まれば、その中で出来るだけコストパフォーマンスの良い注文住宅を建てたいと思うのは真っ当な考え方です。
そこで本日はコスパの良い注文住宅の特徴をお話ししたいと思います。
コスパの良い注文住宅を建てるためには!
建築費を抑える一番手っ取り早い方法は計画する建物の大きさを極力抑えることですが、それではコスパが良いという評価にはなりません。
私は注文住宅の積算を15年以上行っておりますので、その経験からいくつかのポイントをお伝えしたいと思います。
まず、一番コストに響くのは建物の形状です。
コスパの良い注文住宅 | 建物の形状を意識する
総2階建てと言われる1階と2階が全く同じ形、大きさで計画される建物は非常にコストパフォーマンスの高い家となります。
建物の外郭形状に角(かど)が増えると、外壁単価はもちろんのとこ、構造体の価格、基礎の値段も確実に上がります。
建物の形状が複雑になれば外壁の表面積も増えますし、内装の表面積も増えます。
そしてそれらに付随する細かな部材も増えてきます。
複雑な建物の形状はコスト増に結びつく大きな要因となります。
総2階のメリットは価格だけでなく、建物の耐震性や耐久性、将来のメンテナンス性も同時に向上するという特性があることも見逃すことはできません。
ただし、そう簡単に総2階や総3階を計画できるかと言えばそうならないところが悩ましいところです。
やや郊外の広い土地であれば比較的簡単に計画できますが、都心で土地の大きさも限られて変形地も多く、まして法規制が厳しい環境であれば、総2階や総3階の計画はほとんど実現できないのも現実です。
また都心に近づくほどお客様が求める住宅デザインの要求レベルも高く、それに応えるべく設計者たちも腕をふるう傾向にあるため、どんどんコスパからは程遠い複雑な形状の注文住宅になっていく傾向にあります。
建物の形状でコスパが効かないケースは設備仕様や素材の検討が重要になってきます。
コスパの良い注文住宅 | 設備仕様や素材の考え方
設備仕様の中でも、費用的に大きなボリュームを占めてくるのが水回りです。
住宅衛生設備機器というジャンルで、システムキッチン、ユニットバス、洗面化粧台、便器の4点が主です。
この中でも特にシステムキッチンは金額の振れ幅が非常に大きい設備です。
安いものなら50万円くらいからありますが、高いものなら300万円とか500万円を超える代物です。
家を建てるなら理想のシステムキッチンを計画したいというのは特に奥様の強い要望ですし、それを叶えてあげたいというご主人様の意向もあって、とにかくシステムキッチンの価格は上昇する傾向にあります。
そして水回りメーカーのショールームも上手くできてるんですよね!
どんどん高い商品に目が行くよう誘導されていきます。
私個人的には、10倍の価格のシステムキッチンを採用しても10倍美味しい料理ができるわけではないので、そこまで費用をかける必要があるのか!?と疑問に思うところでもありますが、こんなこと言うと奥様たちには怒られそうですね!(笑
しかし、車以上にモデルチェンジが繰り返される住宅衛生設備機器は、1、2年も経てば旧型となります。
コスパ重視であれば、少し冷静になって考えてみてもよいのではないでしょうか!?
特に住宅衛生設備は、高い商品が長持ちするという構図が成り立ちません。
次にあげられるのは特殊設備の類(たぐい)です。
特殊な設備仕様には気をつけて!
全館空調などが代表的な高額設備ですが、最近は高気密高断熱の住まいの普及もあって全館空調の商品かやたら出てきています。
しかし最低でも150万以上のイニシャルコストがかかるのが現状で、もし将来壊れた時の交換費用は未知の世界です。
特に大手ハウスメーカーや、大手空調メーカーか「オリジナル」と称して発売しているものは注意が必要です。
メンテナンスはその会社でしか行うことができず、交換部品はとても高額です。
オリジナル品なので修理費の相見積もりもできず、言いなり価格となります。
そうなると、どうなるか!?
修理するのを諦めて使わなくなります。
機械設備は必ずメンテナンスや交換時期を迎えますので、世の中に普及している汎用品をスペックした方がメンテナンスを含めたトータルコストを考えると有利なはずです。
オリジナルとか、特許という言葉に惹かれる傾向がある方は特に注意が必要ですね!
関連記事:【注文住宅で採用すべき住宅設備とは!?(衛生設備機器編)】
次に素材の話をしましょう。
素材を考える!
素材で価格を押し上げる要因になるものは、まず自然素材が挙げられます。
床材なら無垢のフローリング、壁なら漆喰や珪藻土に代表される塗り壁ですね。
健康志向が高まっている昨今、特に小さなお子様がいらっしゃる若い世代が自然素材を好む傾向にあります。
たしかに自然素材の魅力は大きいものがあります。
弊社も採用率はなかなか高いのですが、【自然素材=健康素材】と捉えるのは少々大げさな話だと思います。
自然素材の対抗商品は新建材と呼ばれるものですが、昔はホルムアルデヒド問題でだいぶ新建材が叩かれた時代がありました。
しかし現在はほぼ100%対策が施されているため、新建材=不健康という構図は成り立ちません。
あえて言うなら【自然素材=心地よさ】という価値がしっくりいくと思います。
コスパ重視なら自然素材は見送ってもいいと思う理由を述べたいと思います。
無垢のフローリングも塗り壁も、建てた後リフォームで実現可能です。
また特に小さなお子様がいらっしゃるご家庭ではストレスが溜まる要因となります。
無垢の床フローリングは水分を吸収しやすい傾向がありますので、何かこぼしてしまえばすぐに拭き取らないとシミになります。
特にキッチン周りやダイニング周りはシミが多くつくエリアで、少々神経質な方は気になって仕方ないと思います。
小さなお子様は可愛い怪獣ですからね!(笑
「汚すのが仕事なのか!」と思う時期が必ずあります。
塗り壁はもっと大変です。
素材の性質上、汚れを拭き取ることは不可能です。
また部分補修には適していませんので、もし補修するとすればそこそこ広範囲になり費用も高額になります。
そうなると、やっぱりしばらくはそのまま我慢するという選択をされる方が多いのが現実です。
自然素材のカタログを見ると、赤ちゃんがすやすやといかにも心地よく寝ている写真か、小さなお子さんが素足で満面の笑顔でもって床を走り回る姿の写真を目にすることが多いと思いますが、いつもそうであるとは限らない、時に怪獣になることも多々あることはよくご存知のはずです。
次に間取りの話になりますが、建物の形状だけでなく費用に影響するポイントをお伝えしたいと思います。
関連記事:誰も教えてくれない!フローリングの選び方について解説
コスパの良い注文住宅 | 間取りで注意すべきこと
「せっかく注文住宅で建てるのだから、少しでも広く大きい方が良い!」と考えることは自然な欲求だと思います。
ただし、建物の大きさは建築費用にも大きく影響することは言わずもがなと思います。
そこで今一度考えて欲しい事は、「バルコニーの有無、客間の有無、LDKの大きさ」です。
バルコニーの有無について考えてみよう!
現在の設計では、バルコニーは当たり前のように計画されます。
ほぼ全ての方は、最低でも洗濯物を干すスペースとし必要だと思っております。
また大きなバルコニーで寛ぐ(くつろぐ)姿をイメージしたり、子供用のプールを設置したい、家族や仲間とバーベキューをしたいという要望は多くあるのも現実です。
しかし30 年ほどこの業界に身を置いてきた私の経験から言うと、イメージ通りにバルコニーを使うことは最初の1、2年のようです。
真夏は暑い、夜は蚊や虫が多い、冬は寒く春や秋は一瞬で終わるという今の日本の季節において、バルコニーを気持ちよく使えるタイミングは一年のうちでそれほど多くありません。
また花粉症で悩まれている方も多く、洗濯物は外に干せないという方も多いです。
洗濯物をバルコニーで干すことは、外からの見栄えや防犯的にもあまりよいものではありません。
洗濯物を干すことがメインならば、【ガス式衣類乾燥機】の設置で一発解消です。(都市ガスエリアに限られますが。。。)
客間や予備室の計画も一考の余地あり!
お客さんが来た時のために、親が来た時のためにと、あれば便利に感じる客間や予備室ですが、今まで一年で何回泊まりに来る機会があったか思い返して下さい。
お客さんやご両親が遠くから頻繁にこれる状況なら客間があった方がいいのは当然です。
しかし「たまにあるかどうかだな〜」という程度なら、そのために数百万のボリュームがかかるスペースを計画することはコスパに反します。
「将来何かあるかもしれないから、せっかくなら!」と考える方もいると思いますが、想像通りの心配ごとは9割は起こらないとものだと言われています!笑
よく考えてみましょう!
冷静になってLDKの大きさを考えてみる
「出来るだけ広いLDKが欲しい」とか、「最低20畳は欲しい」という要望はよく聞きます。
もちろん家族みんなが集まる空間ですから広い方がいいに決まってます。
しかしLDKの畳数(数字)にこだわるあまり全体の間取りのバランスが崩れてしまうケースも少なくありません。
LDKに配置されるものはだいたい決まってます。
システムキッチン、ダイニングテーブル、ソファーなどが代表的なものですが、LDKで最低16畳あれは家族4人の空間は確保できます。
敷地も大きく予算が潤沢にあるので有れば物理的に大きな空間を得ることはオススメいたしますが、コスパ重視の場合は畳数などの数値や物理的な大きさは抑えつつ、広く見える工夫を追求すべきです。
ただし担当設計士の手腕にかかってますので、会社選びはとても重要と言えます。
まとめ
このように、コスパのよい注文住宅はお施主様と担当設計士の協同があって実現するものです。
まずはお施主様は要望を整理すること、そしてよい設計士に出会うことが重要ですね!
また、信頼できる設計と施工を同じ組織で行なっている工務店(アーキテクトビルダー)を探すこともコスパの良い注文住宅を建てるならば必要不可欠だと思います。
詳しくは過去のブログでまとめておりますのでこちらもぜひご覧になってください。
それではまた。
2020.10.19
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